(19) 「違うこと」と「同じこと」
カナダと日本を比べてみると、「違う」ってのはいくらでも挙げられる。
●朝起きて外出前にシャワーを浴びる。カナダの男の人は、ヘヤークリームとかワックスみたいのを使わない。身だしなみのきちんとした人(少数派)でも髪は洗いっぱなしだって。ウォルマートなどで男性用化粧品探したけど、確かにその手のものは見当たらなかった。代わりに髭剃り関係やたらあったけどね、毛むくじゃらのやつ多いから。
●トイレットペーパーをつける「向き」が日本では座ってる人の方に向いているけど、カナダではドアの方向いている。隣との隔壁の下30センチが空いてるから、隣人の様子がモロ分かる、ってことは向こうもこっちが分かる。ドアも隙間が空いてて、切羽詰まって待っているのにスマホいつまでも見てるやついて、腹が立ったり腹押さえたり、、
●授業中も飲食OK。トイレなんかも、先生に断らずに勝手に行ってる。昨日はややアレ気味だったので、行こうかどうしようか、授業中ずっと迷っていたんだ。我慢できるかというのと、やはり日本人だから先生に何も言わずに教室出るってのが何となく引っかかってね。結局、行かなかった。でも何事も経験だから、今度はあまり切羽詰まってなくても、一度試してみるよ、授業中のトイレ行き。
●名前はみんなファーストネームで呼び合う。私もキヨシって呼ばれてる。ガキンチョにキヨシって呼ばれると、最初は少し抵抗あったけど、あっという間に慣れた。もっとも、日本人はキヨシさんって言うな。「さん」付けで言う先生もいたけど気を遣わしちゃってるみたいで、「さん」無しの方が馴染んで来たな。
●授業が終わると、半分くらいの生徒はテキストを自分の席に置きっ放し。先生も同様。成績表も机の上にオープン状態になっていて、休み時間なんか、みんな勝手に見てる。トライもタイヘンにおおらかだったけれど、そんなもんじゃないよ。悪い点数取ってもへっちゃらみたいに考えているのかなあ、、、
●信号のない横断歩道で車の途切れるのを待っていると、必ず止まってくれる。素晴らしいよ、これは。逆に、赤信号でも車が来なけりゃみんな渡っちゃう。これ、英語でジェイウォーク jay walk と言うんだよ。雨降りでも傘をさすやつがほとんどいない。小雨なら分かるけど、本降りでも平気で濡れて歩いてる、女の人もね。「この程度じゃ大丈夫。へっちゃらだぜ」みたいな感じ。タフで強いことが重要な価値観になってるんだろうな、女の人もね。そう言う感じの女の人が確かに多いし。
●温度を感じる肌感覚がカナダ人と日本人では根本的に違うんじゃないか。そう思いたくなるくらい、みんな、とんでもなく薄着なんだ。11月の夜、私は厚手のダウンジャケットを羽織ってたんだけど、金曜の夜ってこともあったんだろうけど、腕・肩・胸上部丸出しで、これだけでもすごいのに、さらにヘソ出しの女の子が肩で風切って歩いてた。アレで風邪ひかないっての、すごいし羨ましいよね。
●街を歩いてる人の様子。スーツにネクタイなんて男は滅多にいない。ほとんどの人が普段着。しかも、結構汚れてたり擦り切れてたりしてる。女の人のスカート率は10%くらいか。半数以上の人がタイツ、今はレギンスというのかな、アレを履いている。スタイルのいい子は見てても(ジロジロは見てないよ)様になってていいんだけど、百キロ級がレギンスだと最初の頃はどどっときた、今は慣れたけど。そもそも体型が違うよね。お尻がボンと後ろに突き出ていて、雪が降ったら積もりそう。それと、女の人がみんな外股で歩く。背筋がピンと伸びているからかっこいいよ。 脚とかお尻とかヘソとか、ほんとは撮りたかったんだけど、ユイに「キヨシさん、それ以上やると盗撮ですよ」って言われて気持ちがめげた。
やはり外国だな、文化が違う、人種が違うと感じざるを得ないんだけどね。ある晩、アレンのことについて、キャリアナと話し込んだことがあった。彼女は今、年老いた父親にどのように対していいか悩んでいた。私の両親はすでに二人とも他界しちゃっているけど、キャリアナの抱えてる問題が難しいってことはよく分かる。そして、涙をポロポロ流しながらとりとめなく話すキャリアナの顔見てるとね、人間、本当にみんな同じだなーって、つくづく思うんだよ。