おやじは荒野をめざす【カナダ編】

30年間続けた塾を閉じ、私は北極海をめざす旅に出た。物好きオヤジの旅の記録が教え子たちへの課外授業となってくれることを願って、このブログを綴る。

(4) 初めての授業〈その1〉

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後列のコリン先生にはどれほど支えられ励まされたことか、、、

 ビクトリアに着いて次の日、とりあえず街の様子でも見てみようとホテルを出た。時差ボケで体がだるい。当たり前のことだが、モロ外国って感じで、右も左も分からない。行き当たりばったりで2時間歩き回り、どこかで見たような看板の前に出た。えっ!これってもしかすると見学予約を申し込んでいた?  そう、これが、これから半年間通うことになるSprott Shaw Language Collegeとの出会いだった。うーん、何だか「縁」を感じるなあ、、、

 オリエンテーションもそこそこに早速授業が始まった。1時間目はpronunciation、発音の授業だ。生徒は20人くらいでガヤガヤ騒がしい。席は好きなところへ勝手に座る。目の前のピンク髪の女の子は、先生が話し始めてもジュースを飲んだりスナック菓子をポリポリしたり。私にも勧めてくるが、とりあえずNo thank you.と返した。こちらでは授業中の飲食は自由と聞いていたけど、こういうことなんだな。ピンク髪は相変わらず口をもぐもぐさせていて、一方、私は先生に対する礼儀とかけじめとかいうことが頭をよぎったけれど、この「隔たり」がこそが文化、習慣の違いなんだ。カルチャーショックというと大げさ過ぎるけれど、やっぱり異文化体験は面白い。どっちが正しいとかいうことではなく、「違う」ということ自体がとても興味深いのだよ。

 クラスに日本人はいないようだ。一見日本人と見えたのは韓国、台湾からの子たちだった。他にメキシコ、ブラジル、サウジアラビアなど。年齢は20歳前後くらいかな。少なくとも30を越してそうな人はいない。賢そうなのもいれば、おしゃべりばかりで遊び半分みたいのもいる。皆、一様に明るく元気だが、外見、言葉、そして勉強に対する姿勢はバラバラで、この多様性がまた面白い。教室は English only。オールドミスっぽいおっかなそうな女の先生が、母国語のスペイン語でおしゃべりを続けているメキシカンを English, please! と一喝し教室がシーンとなる。先生がペラペラ授業の説明を始めた。中級クラスのはずなのに、容赦ない速さだ。何を言ってるんだろう、、、と思う間もなくニカッと笑って私に向かってお出でお出でしてる。流れと状況から考えて、どうやら私に自己紹介しろと言っているようだ。マジっすか、、、数日前に着いたばかりなのに、幾ら何でも、といくら尻込みしたところで、教室全体が「自己紹介すんの当たり前」の雰囲気だ。観念して、私は教壇に進み出た。

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左:兵役を終え公認会計士をしている韓国のエリート。優秀かつ謙虚。私より英文法知っている。グヤジー! 右:ブラジル三人娘。ピンク髪は先生の話全然聞かずにアニメばっか描いてるのにできる。

▶︎(5) 初めての授業〈その2〉に続く